発表前に「失敗したらどうしよう」が止まらない―「本当はどうなりたい?」を子どもと一緒に考える
明日の発表を前に、「絶対失敗する」「笑われる」と不安が止まらない。そんなとき、「考えないで」と伝えるだけでなく、「本当はどうなっていたらうれしい?」と聞き、本人が向かいたい未来を一緒に見つける方法を紹介します。
- 執筆
- スクエアクリニック

準備はしている。それでも「絶対失敗する」
明日は、学校で発表があります。
原稿はあります。
練習もしています。
準備をしていないわけではありません。
それでも夜になると、
「明日、行きたくない」
「絶対失敗する」
「みんなに笑われる」
「声が出なくなるかもしれない」
と、何度も言います。
保護者も、少しでも安心してほしくて、
「練習したんだから大丈夫だよ」
「失敗することばかり考えないの」
「そんなに心配しないで」
「緊張しないで。いつも通りで大丈夫」
と声をかけます。
どれも、子どもを少しでも安心させたいからこそ出てくる自然な言葉です。
けれども、
「だって無理だもん」
と、また同じ不安が戻ってくることがあります。
そんなとき、大人は、
「どうして何度言っても安心してくれないんだろう」
と思うかもしれません。
でも、困っているのは大人だけではありません。
明日の発表を考えるたびに、
「失敗する自分」
「声が出なくなる自分」
「笑われる自分」
が、何度も頭に浮かぶ。
子ども自身も、その未来から離れにくくなって困っているのかもしれません。
「しないこと」ばかりが、増えていない?
ここで、大人がかけている言葉をもう一度見てみます。
「失敗することばかり考えないの」
「そんなに心配しないで」
「緊張しないで」
どれも、「起きてほしくないこと」を伝える言葉です。
もちろん、それが悪いわけではありません。
本人だって、失敗したいわけではありません。
心配したいわけでも、緊張したいわけでもありません。
だから今度は、
「しないこと」ではなく、「どうなりたいか」
へ、少しだけフォーカスを変えてみます。
なぜ「考えないで」だけでは難しいことがあるのか、もう少し知りたい方へ
「本当は、どうなっていたらうれしい?」
子どもが、
「明日、絶対失敗する」
と言ったとき。
すぐに、
「そんなこと考えないの」
と止める代わりに、まず、
「そっか。失敗するところが頭に浮かんでるんだね」
と受け取ります。
そして、少し待ってから聞いてみます。
「じゃあ、本当は、発表が終わったときどうなっていたらうれしい?」
子どもは、すぐには答えないかもしれません。
しばらくして、
「……最後まで言えたらいい」
と出てきたとします。
そこで、
「終わったら、どこにいる?」
と聞いてみます。
「席に戻ってる」
「そのとき、どんな感じ?」
「ちょっとホッとしてる」
ここまで出てきたら、それで十分です。
子どもの頭の中に、
「発表が終わって、席に戻って、ちょっとホッとしている自分」
という、もう一つの未来ができました。
大人が作る未来ではなく、その子の未来
大人から見れば、
「堂々と発表できたらいい」
「全部うまく言えたらいい」
と思うかもしれません。
でも、その子が望んでいるのは、
「最後まで言えたらいい」
かもしれない。
「途中で止まっても、もう一度始められたらいい」
かもしれない。
「終わったら、ちょっとホッとしたい」
かもしれません。
その答えでいいのです。
大切なのは、
大人が「正しい未来」を教えることではなく、本人の「こうなれたらいい」を見つけること。
今回のBrain Managementでは、ここを大切にします。
本人がまだうまく言葉にできないときも、大人が先に答えを決める必要はありません。
少し待ちながら、
「終わったら、どこにいる?」
「そのとき、どんな感じ?」
と聞いて、一緒に形にしていきます。
フォーカスする先を、一つ増やす
「失敗したらどうしよう」
という未来を、無理に消す必要はありません。
その隣に、
「自分はこうなっていたらうれしい」
という未来を一つ置いてみます。
「失敗しないように」
だけではなく、
「終わったら、席に戻って、少しホッとしていたい」
という行き先も持つ。
今回見たい小さな変化は、
本人が「こうなれたらいい」という未来を一つ、自分の言葉で表せたか。
そこです。
不安がなくなったか。
緊張しなくなったか。
発表に成功したか。
そこまでを、今回の成果にする必要はありません。
本人の中に、
「避けたい未来」だけではなく、
「自分が向かいたい未来」
が一つ増えたことを大切にします。
翌朝
翌朝。
子どもは、まだ緊張しているかもしれません。
学校へ行きたくない気持ちも、残っているかもしれません。
でも頭の中には、
「失敗する自分」
だけではなく、
昨夜、自分で言葉にした、
「発表が終わって、席に戻って、ちょっとホッとしている自分」
もあります。
不安があることと、
自分が向かいたい方向を持つことは、同時にあってもいい。
何度も不安を口にしている子どもを見たとき、
「また同じことを言っている」
ではなく、
「この子自身も、今この不安の中で困っているのかもしれない」
と見る。
そして、
「考えないで」のあとに、もう一つ。
「本当は、どうなっていたらうれしい?」
と聞いてみる。
それが、大人にできる今回の一つです。
強い不安が続くときは
不安が強く、学校生活や睡眠、食事など日常生活に大きな影響が出ている場合や、本人も止められず強く苦しむ考えや行動が続く場合、精神面や行動が急に大きく変わった場合には、家庭だけで抱えず、医療機関や専門家へ相談してください。
参考文献
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